大手メーカーのネームバリューってメチャメチャありがたいですよね?
だって下手なセールスレスで名刺さえ出せば、話が通ってしまうんだから。
そんな大手メーカーに勤めていたシンジさんは、自分を殺してまで雇われている現状に嫌気がさして起業してしまったひとり。
さてさて、勢い余って退職した彼はどんな運命をたどるのでしょうか?
雇われの自分に嫌気がさして鍼灸師を目指すも挫折
こんにちは。現在、個人事業主としてインターネット通販業を営んでいるシンジです。 現在、52歳。妻と子供2人の4人家族。
今でこそこうやって平穏無事に生活していますが、10年前の転職当時は自分が起業して家族を持つことができるなんで想像もつきません。
今から10年前の41歳の時、雇われのサラリーマンが嫌ってだけで村田製作所を辞め、安易に鍼灸師を目指すもののコネとカネがなく鍼灸師になれず路頭に迷いました。
しかし、この歳で親に頼るのだけは嫌だったので、失意の中で仕事を探す手段としてリクルートエージェントに登録し転職先を探しを開始。
この時は辛かったですね。
だって今まで大手メーカーで働き、そこそこいい給料もらっていたのに、リクルートエージェントから紹介される会社は従業員不足の零細企業ばかりで、給料も勤めていた大手メーカーと比べると激下がり。
たまに大手企業の中途採用枠を紹介されて面接に受けにいくものの、真の転職の動機が、サラリーマンが嫌で鍼灸師になるためで、それにも失敗したためなんて言える訳もない。
そのあたりを面接官に突っ込まれまくって、あえなく轟沈。
俺は人生に返り咲くことはできないのか?俺の人生詰んだと、繰り返し絶望しましたね。
やりたい仕事もないし目的もない。何を基準にどんな仕事を選べばいいのかがまず自分が分かっていない。
転職するにはまずそこをはっきりさせなければいけません。
暗闇の中に明かりさえもないような状態な訳ですから、出口も見えず、焦る毎日。
転職活動をする中、私は大手メーカーに勤めていた頃の自分がいかに守られていたかが痛いほど分かりました。
社員寮に社員食堂、交通費も会社支給。保証された仕事にそこそこの給料とボーナス。
組織という後ろ盾を失った自分に残されたものは何もない現実を突きつけられた時、必要なのは再び会社に入っても個人として生きていける能力。
この能力が絶対必要と踏むや否や、再就職先は売る力を養うことができる営業職に絞り求人検索。
そのことをリクルートエージェントに伝え、そういう仕事を紹介してもらえるようお願いしました。
ただひたすらエージェントからの連絡を待つ日々
こっちはアパートで1日中、リクルートエージェントから連絡を待つだけの毎日ですから、気が滅入って滅入って仕方がありません。
当時、私が住んでいたのは都心から離れた住宅地域のアパートですから昼間はとても静かなんですね。
基本、主婦たちの話し声や、夕方、子供たちが学校から帰ってくる時の声しか聞こえてこない。
そんな所にいい大人が昼間一人でいると、社会から取り残された気持ちになってきます。
話し相手もいないのでほとんど自閉症状態。
それが嫌なので、電車で都心に出て喫茶店で時間を潰していましたが、今度はそこでスーツを着たサラリーマンに出会う訳です。
「ああ、俺も数か月前まではあっち側の人間だったのに、今やこんなに落ちぶれれて」と感じて何ともいえない気分になります。
どこにも行き場所、居場所がない絶対孤独と「俺はどこからも必要とされていない人間なのか」という無力感。
結局、アパートの中で過ごすか、アパートの近辺をブラブラするしかなく、そうこうするうちに失業保険が切れる日も迫ってきて焦り始め、もう手当たり次第、他の人材エージェントにも登録しまくりました。
下手な鉄砲、数打ちゃ当たるってね。
会社を辞めた真の理由を話せず面接で落とされ絶望
その甲斐あって、ポチポチ他の転職エージェントから結構名の知れた会社の紹介が入り始めましたが、最初の会社面接で落とされまくりですよ。
面接の時、やはりどうしても転職理由がうまく説明できない。
そのあたりを面接担当者は見抜いて不安に思ったようです。
こいつ、嫌になたらすぐ辞める奴やろ?と。
会社の面接官を舐めてはいけません。
彼らは採用のプロフェッショナル。説明の辻褄が合わないところや矛盾点は、ガンガン攻めてきます。
そうこうするうちに3か月の失業保険も切れてしまい、その後は退職金の取り崩しで食いつないでいましたが、41歳で会社を辞めた男の退職金なんかしれてます。
6か月でスッカラカン。
前職の会社員時代、旅行や飲み代や遊びで給料、ボーナス使っていたので貯金なんか全然ない。
経済的に追い詰められた私は「もう金が貰えるんやったらどこでもええわー」という気持ちになり、希望会社のハードルを下げ、受けた会社が田舎の中古車販売会社。
この会社、面接なんか、あってないようなもので、とにかく早く働いて欲しいという感じ。
「君いつから来れる?」「基本給はあるけど、歩合の方が大きいから、金稼ぎたかっらぎょーさん売ってや。」みたいな話ばかりですよ。
あまりにも簡単すぎる面接って逆に不安になりません?
しかし、面接に落ちまくって自信喪失、生活費がもうすぐ底をつく私としては藁にすがる思いで入社をその場で即決。この時は素直に嬉しかったですね。
半年以上にも及ぶ無職生活で精神的に参っていたので、とにかく定期的なインカムが入って社会にカムバックできた気持ちでホッとしました。
この時の私は、これが更なる悪夢の始まりになろうとは露知らず。
車のセールスになったが1台も売れず罵詈雑言の嵐
しかし、考えてみれば、セールスの経験もなければ、特に車が好きな訳でもなく知識がある訳でもない。
当然のことながら100万円近い車が簡単に売れるはずもなく、店長からはケチョンケチョンに怒られ他のセールスマンからは馬鹿にされる毎日。
「バカ」「ノロマ」「役立たず」と毎日ありとあらゆる罵詈雑言の嵐。
特に私より4歳年下の店長からは店の売り上げが自分の給料に直結するだけに、毎日怒鳴られ続け、次第に私の仕事も車の水洗いとか、値札付けとか、商談中の他のセールスマンへのお茶へとどんどん格下されましたよ。
毎日、イジメラレ状態。
車を売って営業力付けて、金を稼いでなんて夢のまた夢。
毎月「お一人様生活カツカツの給料」しかもらえない。
情けない話ですが、仕事が終わって一人寂しくアパートでホカ弁を食べている時なんか、何とも言えない惨めな気持ちになってきて飯食いながら涙したもんです。
仕事がつまらいとか、やり甲斐を求めて安易な夢を描いて会社なんかやめるもんじゃない。焦って転職なんかするもんじゃない。
ガチで後悔しましたね。
雑用でこき使われるだけだったので、いやその前に精神的におかしくなりそうだったので結局半年でそこ辞めました。
会社を辞めるにしても、転職するにしても今いる会社を辞めて転職活動を1から始めるのは非常に危険。
転職するなら今いる会社で働きながら、自分がやりたい仕事についてよく考え、それから人材エージェントに登録するなり、自分で会社を調べるなりし進む方向性を定めてから転職した方が絶対いい。
できうるなら面接を受け、行くところが決まってから今いる会社を辞めた方が更によい。
私の場合は、そのあたりが全然駄目だったので、転職に失敗。
その失敗の恐怖心が転職トラウマになって結局、自分で起業するしかなくなったのが失敗して唯一良かったことといえばよかったことなのかなー。
大手メーカーを辞めて車のセールスになった男の話
最後に要点を纏めておきますので、参考にしてください。
- 雇われの自分に嫌気がさして鍼灸師を目指すも失敗
- ただエージェントからの連絡を待つだけの転職スタイル
- 会社を辞めた真の理由を話せず面接で落とされまくった
- 未経験で車のセールスになったが1台も売れず罵詈雑言の嵐
何の計画もなく退職したサラリーマンの典型的な末路といった感じでしたね。
ただ、シンジさんはその後、一派逆転を賭けインターネット事業を立ち上げ。
見事軌道に乗れることに成功し、今にいたる人物です。
鍼灸師にはなれなかったものの、フロンティア精神は忘れていない男だったようですね。
くれぐれも転職は計画的に!